炎色反応の利用のされ方

炎色反応とは

炎色反応という現象は化学が好きだった人なら覚えているかもしれません。これはアルカリ金属やアルカリ土類金属、銅などの塩を炎の中に投入するとそれぞれの金属元素特有の色になる反応のことです。

 

こうした炎色反応をする物質は約20種類あって、金属の定性分析や、花火の着色に利用されており、一昔前では花ガスとしても人々に楽しまれていました。

 

ある種の金属粉末や金属化合物を高温の炎中に入れると、その試料が熱エネルギーによって解離して原子化されますが、それぞれの原子は熱エネルギーによって電子が励起して、外側の電子軌道に移動していきます。励起した電子はエネルギーが光となって放出されるので基底状態に戻ります。この時元素に特徴的な輝線スペクトルを示すのです。炎色反応を見ることができるのは比較的低温で熱励起されて、可視領域の発光波長にある元素が、微粉末や塩化物などの原子化されやすい状態になっている場合です。

 

炎色反応による発光は輝線スペクトルなので、特定波長範囲を吸収するフィルターを通せば、不要な波長をカットして見ることができます。輝線スペクトルとは原子がエネルギーの高い状態から元の状態へ遷移する時に放射する光のスペクトルのことで、その元素によって固有の単色光となって現れます。

 

ナトリウムの例では炎色反応が起きやすく、微量でも波長 589nm の強い黄色になります。しかし500~700nmの範囲で強い吸収をするコバルトガラスを通すと、見えなくなります。その他の元素でもこの波長域の発光がカットされるので、元素によっては色調が変化します。